背景
「遺伝子(Genome)」や「タンパク質(Proteome)」を基盤とするバイオテクノロジーは,バイオ分子の不安定性・短寿命等の欠点が工業利用の足枷となっている.光合成膜の様に,バイオ分子の集積化により物質やエネルギーを高効率・安定に生産する「生体膜」が注目されるが,応用例は皆無である.
目標
リポソーム(モデル生体膜)は,“水中に浮かぶ水のシャボン玉”と比喩できる.そのナノサイズ油膜は,各種バイオ分子を集積化して物質生産に必須な分子認識点や触媒活性点を「創発」できる (Membranome).リポソーム膜上で化学反応ネットワークを駆使し,最小エネルギー/資源でモノをつくる革新的バイオテクノロジーを創成する
特色
世界に先駆けてリポソームを用いた人工酵素技術(LIPOzyme)を公表し,リポソームセンサ/プロセス材料等の独自基盤も整備している.LIPOzymeの高性能化により高性能・安定でシンプルな次世代グリーンプロセス(難合成医薬品やタンパク医薬の製造など)の開発が可能となる.
予想される展開
リポソーム膜のオーダーメード設計により,(a)ナノ化学工場,(b)組織再生材料や次世代人工臓器,(c)環境修復材料(レアメタル回収)など,環境負荷の少ない工業プロセス開発が可能であり,現代社会の変革に役立つ技術となりうる.